分りやすい文章を書けるように
ちょっと努力してみる。
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軽く茶髪のさらさらヘアで
ザクッと乗り込んで来た彼は
大股で風を切るのに
不思議と威圧感はなく
スリムなのに身体の動きの流れで
筋肉質なのが見て取れる。
スタンと斜向いの座席に腰を下ろした。
その節くれ立った指で
がっぷりと大きい鞄から
一冊の文庫本を取り出す。
焦茶の細いしおりをつまみ
残り3分の1ほどのページに目を落とす。
その瞬間、彼の目の輝きが変わる。
小説に引き込まれた彼は
多分、周りの騒音も耳に入らない。
はは。夢中になると
口が半開きになるんだね。
日の光の色が変わった頃
彼は後ろ姿を見せた。
ドアが開き光の中に吸い込まれる彼を
ただ見守る私は、てんでへたれ。
この出会いが運命なんかじゃない事は
哀しくなるほどわかっている。
気付けば、私が降りるべき駅から3駅ほど乗り過ごし。
それからもう2度と、その半開きの口を見る事はなく。
むかしむかしの西武線。
光の中の練馬駅。
*文章課題:ひとめぼれ
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